沼隈の後、鞆の浦へ。
宮崎駿の「崖の上のポニョ」の舞台とか、瀬戸内国立公園の代表的景勝地とか、港湾に橋をかける計画があるとか・・・。話題の多い地区である。
ここでの感動的出会いは、漁村集落ならではの超絶技巧の路地の世界と、江戸時代から続いている地酒の保命酒屋などが並ぶ町屋群の中におかれた「さくらホーム」であった。
「さくらホーム」は、江戸時代の造り酢屋の木造架構体をリニューアルして、デイサービス等高齢者の居場所となっている。そのアルジの羽田さんは、この建物が売りに出され駐車場になることを知らされた時、1分で「ここを買い取ります」と電撃的決断をされた由。その後、デイサービス等事業計画をたて、それまでやったことのないコミュニティ・ビジネスに参入し、地域のお年よりの安心居場所づくりをされている。
お話をうかがっていて、「鞆」と「さくら」のこれからに向けてのキーワードを別れ際にプレゼントした。
価値を問いつづける/地域の人と人の関係づくりの両面性
―「ハンザツサ」と「ユルヤカサ」
無意識のうちに地域にいいものをプレゼントしてきている
―地域に根ざした「さくらホーム」
抜群のタカラものを大切に育み、まちの物語づくりへ
―景観もまつりも足さばきも
工夫しつつ「風」の人と「土」の人のまざりあい
―よそからくる若者が地域に定住し、時折専門家もやってきて新しい「風土」デザインへ
ユーコートのような子育て環境に磨きをかけよう
―日常的居場所づくりの育み
素晴らしいユメを実現できるのが住民主体のまちづくり
―理想と現実を結ぶ
これらの8つのキーワードの頭文字を束ねると
カムバック・ユース
―若者をひきつけるまちづくり物語
となった。地域出身の、よその地域の、そして外国からも若者たちがひきつけられるまちには未来がある。
ぼくの拙いまとめの話にふれた途端に、羽田さんは「もう見えました。これらが5年後実現している姿が・・・」
といわれた。
羽田さんの出来事への瞬間瞬間の光のような判断力がまちの元気を内側から育くんでいくことになる。

1)近景と遠景のバランスのよい鞆の浦

2)海際での生活景

3)漁村集落のスキマのような路地と羽田さん

4)「海辺のエンガワ」―ここに住民たちは座りながら海を見やりつつ歓談する

5)「さくらホーム」は人々をやさしくむかえてくれる

6)時の積み重ねのある「さくらホーム」は、人にもまちなみにもやさしい表情を投げかけている

7)「さくらホーム」の縁側

8)人々と時間をあたたかく包みこむ内部空間