4月2 8日、大阪でのセミナー「安心・安全を目指す住宅地再生」はまれにみる充実内容であった。午後1:30~同5:45の間、参加者はイギリスからのイアン・カフーン教授、ビル・キャス(ハンバーサイド警察指導官)両氏の話に魅了された。全体進行の濱恵介氏(大阪ガス)の適切なコメント、パネルディスカッション司会の高田光雄氏(京都大学)のたくみな誘導により、進行管理がテキパキとしていたのも気持がよかった。
防犯安全からみた持続可能な住環境づくりに向けて、お二人のお話をききながら次のように当日の要点を束ねた。
先ず、
Architectural Liaison Officer(ALO)の立場からビル・キャスの語られた中味は、「守られた環境デザイン」(Secured by Design, SBD)についての日英の同時代の共通キーワードとして集約できる。
・Learning mutuality together
混ざりあって住みあい、共に学びあう
・Identifying effective communication
ALO同士、ALOと行政と住民と専門家等の間の効果的コミュニケーションを明確化する
・Achieving Neighbourhood Watch Group
「近所の見守り仲間」を育む
・Improving training and coordination
ALOの研修や調整をたゆまず改善する
・Secured by Design protected estates.
防犯環境設計は団地を守る
・Obtaining natural surveillance
自然監視を生かすデザインをとりいれる
・Nurturing “Community Policing”「自分たちのまち・団地は自分たちで守る」しくみを育む
いつもながら頭韻をふむと、
L・I・A・I・S・O・N
ALOは「建築指導官」と訳されていたが、内容的には諸々の分野を仲立ちする「建築連携官」又は「建築調整官」ともいうべき意であろうか?複雑で困難きわまりない防犯環境づくりに、軍隊でいうLiaison Officer(連絡将校)のように、状況の中で生き生きと諸主体をつなぐ役割として、Architectural Liaison Officer という創造的媒介者を生みだしていることに驚いた。
ともあれ、かつて19世紀にオクタビア・ヒルが問題を孕む住宅地に住み手の意識を育むHousing Managerをひらいたように、不安の多い現代にふさわしい新しい職能としてのArchitectural Liaison Officer を、警官行政の中にひらくとは、何とイギリス的であろうか?かの国は、社会問題の困難を世界中でいち早く体験するとともに、それを乗りこえていく術を、技術や政策の開発に加えて、人間的職能の開発を社会的にしかける点で特徴的である。