8月5日(土)、「人と縁を育くむ住まいまち育て活動」と題して、小生の日本建築学会賞(業績)受賞記念講演会(愛知産業大学主催)が、名古屋都市センターで行われた。建築学会がハードな空間設計や論理的な論文ではなくて、「住民参加による住まい・まちづくりに貢献する優秀な業績を認めた」文字通りソフトへの評価としてとてもうれしいものがある。これは全国各地での住民参加の住まいまち育てに関わられた関係者との共同受賞としてうけとめ、彼ら・彼女たちに深い感謝の気持をささげたい。
この日の会場は、定員160名きっちり満員となる稀にみる段取りのよさであった。これは、小川英明先生や小杉学君をはじめ愛知産業大学の教職員・学生諸君、まちの縁側育くみ隊のみなさんの驚くべき緻密にして心のこもった取りくみによるものであった。多謝。
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ふりかえると、40年程前の1964年の卒業論文の結びに「これからの日本の都市住宅は住民参加で・・・」を記した。その頃はそれいけドンドンのあの高度経済成長の時代。公害や土地区画整理事業反対などの抵抗型参加はあっても、住民主体の生活空間づくりの創造型参加はまだ皆無であった。しかし、ぼくはそれは可能であると本気で信じていた。住民参加の住まいまち育ての世界を泳ぐことへの強い憧憬は、その後具体的カタチを生みだしていった。この日幻燈会で映写した真野地区(神戸)やユーコート(京都)にかかわりつづける中で、それは奇跡のように実現されるとともに全国各地にその影響をうけての種子まきと花開く状況はひろがっていった。真野地区にかかわって30年、ユーコートにかかわって24年、特殊解を言葉と映像で検証することを通して、普遍解という構造一般の新しい姿の発見につなげようとしてきた。
計画やコミュニティを構成する原理的なものをひたすら追い求めながら、覚醒する瞬間を求めたこの40年の軌跡をとおして、これからの住民主導の住まいまち育てのキーワードを5つすくいあげて、この日のまとめにかえた。
1. ままならぬ危機感とありたい夢とが集まる場所を共にわかちあう。
2. 地縁と志縁の結びあい―「風の人」と「土の人」のまざりあいによる「風土」デザイン
3. 想像力の翼をひろげる―絶望の渕にあっても「まだまだいける」というポジティブな姿勢をもちつづける
4. ダッシュする瞬発力と粘り強い持続力―目覚めへの渇望とひるまずに斬新なところに踏み込んでいく
5. てごわいトラブルをエネルギーにする―対立を対話に変える
まちそだて/コミュニティ・デザインとは、住民との回路を探り出し、住民・行政・専門家間の対話と協働の関係をつむぎつづけることだ。
これを機に、生きる意味を深めるまち育て物語の冒険へとさらに赴きつづけたい。
稀有な時間を感動とともに共有できた幸わせを、この日の参加者と関係者にあらためて深謝。