6月6日(火)午前名古屋市のドマンナカ。錦2丁目まち再生設計提案のための現地ワークショップ。中部大学建築学科の学生約20人が、坪井俊和講師の指導のもとにまちタンケンとテーブルトークと提案発表。錦2丁目まちづくりにかかわっている育くみ隊メンバーとともに応援にかけつける。4グループにわかれて、イキのいい若者たちとまち歩き。元気学生たちのグループワークの発表やまち人インタービューを通して、ぼくは最後にまとめをした。今後の学生たちの提案に期待したいキーワードを6つ。
1. おどろきのある若者センスを
―この日の発表の中では“ITRO”が目をひいた。近代建築や神社仏閣等古いものを大切にする“RETRO”感覚をこえて、それら〔いいところ〕をめでつつ、まち育ての文脈の中にそれらを〔イントロ〕し、あわせて繊維産業のまちのあり方を求めつづけるみちすじとしての「糸路」(イトロ)等を束ねての“ITRO”コンセプトが提案された。「何々?」「それはエエ!」と思わせるセンスにみちたまち育てキーワードを若者らしく提起してほしい。
2. 問題をこえる具体的提案を
―この町の課題解決を具体的に提案してみよう。例えば「繊維会館」はかつて人々の集いの場であったように、今の状況にふさわしいまちの多様な人々が集う場は何かを考えてみる。また、小売と卸売、繊維業と飲食業が共存できるしかけは何かを考えてみる・・・等々。
3. ロケイション・立地条件の潜在力に着眼を
錦2の16ブロックは、名古屋駅と栄の中間にあり、地下鉄の駅が4つもある交通アクセス格別に秀でている。ここに他地域から多様な人々がやってくるしかけを提案しよう。今日のアイディアの中では「長者町インターンシップ」としてまちづくり、コミュニティ・デザイン等の広域的学びの場にしていく提案が注目された。
4. 意外性のあるタカラの生かし方を
地域資源の大胆な活用への提案
―例えば、
①日本銀行を徳川美術館分館にしよう。
②新・旧、整形・不整形などバラバラな街並みを、単純に均質なものにそろえるよりも、「ふぞろいの美しさ」という価値を実現する仕掛けを考えてみよう。
③この町の古いもののタカラは人が生きる上での幸わせ
―延命院は長寿、福生院は愛と縁、桜天神は勉強と合格 ――を約束してくれる。これらが相互に連携する仕掛けを考える。加えて、新しい娯楽の場としての「ダンスパーティ」会場などもつなぎとめ、新旧の多面的なアミューズメント・シリーズのしかけ提案。これをアミューズメント網=Aネットとして具体的内容提案にふみこんでほしい。(とぼくがいっていたら、ファシリテイション・グラフィックスをやってくれていたナバちゃんはAネットにルビをふって、「エエネット」 と記ていた。こんなユーモアもエエ。)
④フイをつく発想の面白い提案としては、表街区の大駐車場デッキ空間で演劇を、裏街区の中庭(この町特有の空間構成のタカラとしての閑所)で、コンサート等といった、まちのスキマの有効活用の提案を。
5.我の強い地主の心をゆさぶるカチづくりを
―年おいた地主の方々は土地もち・金もちであるが、町の未来展望にはうとい面がある。しかし、カネよりも大切な町の未来を開くカチづくりの提案によって地主の心を動かせる程でありたい。
6.やりたくなる魅力的な表現力を
―内容提案に意味あるオリジナリティを、そしてその空間とプロセス表現において地域の方々のキモチをとらえてはなさない創意工夫を。
キーワードの頭文字をたてにつなげて韻をふんでみると、「オモロイガヤ」になった。若者提案が地域の住民・地主・企業者などに「オモロイガヤ」といわせ「やってみよう」のキモチを促すようなイメージ喚起力にみちた作品を提案してほしい・・・と学生諸君にやや過剰な(?)ゲキを飛ばした。
7月18日の発表が楽しみである。