「これっきり、これっきりにならないように」とのおばさんの発言は「こんなにみんなのやる気がでてきたのを何とか続けてものにしましょうヨ」と熱くつづいた。
2月22日(日)、「くまもとまち育て塾」は菊池市で行われた。午前中6つの住民グループからの半年間の塾活動の成果としての「まちよみがえりプラン」の発表。菊池市は古代・中世からのタカラだらけのまち。18世紀には「集玄亭」「星堂」「銀月亭」「梅月書屋」といった私塾が開かれ学問が広まった。発表に対するコメントの中で、塾長としてこう提案した。この私塾の伝統を、現代のまちよみがえり楽(学)考究と実践につなぐために「養生詩塾」を設立・運営しては如何…と。「養生」は、いで湯の町の健康と癒しという心身、そして人もまちもともに元気を育むことを意味するキーワードである。
午後、幻燈会のあとパネルディスカッションが行われた。藤原恵洋さん(九州大学教授)は、絶妙にパネリストとフロアの住民発言を引き出しつなぎ、方向感をわかちあう状況づくりとしての名手。西英子さん(熊本県立大学准教授)は、デンマークの経験から子どもも大人も身近なところにまちづくりへの関心を呼び覚ます仕掛け・場づくりの重要性を示された。地元の商工会会長の笠愛一郎氏は横の連携をしっかりととりながら「養生詩塾」の実践的運営をやろうの意見が出された。別府からやってこられた写真家・藤田洋三さんは、今日から私は藤田「養生」と名乗りますと笑わせながら、生命文化を育む視点が、このまちのよみがえりの肝心なキーワードであると指摘された。
まとめの中で小生は「きくち養生詩塾」は、住民のくらしと地域の農業・観光等の産業育みを貫く大切なものの見方は、「生命文化」の営みであるとした。生命文化の営みとは、①土と緑と水を寿ぐ生き方であり、②人と人のつながりの中にまちの生命のありかを見出すことであり、③人々が歴史の魅力を呼吸することであり、④ひとりひとりが身体を動かし、手足を駆使しながら創造することを通しての生命の時間をつくること、である。
「まちよみがえり」とは、これら4つの意味を孕む生命文化の営みを日常生きるふるまいとし、かつ、地域に根ざした諸産業にすることである。
まちの縁側育くみ隊の目指していることも、このような生命文化の回復と再創造にあることを、菊池であらためて実感した。
※この原稿はNPO法人まちの縁側育くみ隊発行ENGAWA NEWS3月号「ウィングのウィンク」の再掲です。